中世の家並みが残る
ペルージュ(
Perouges)には、リヨンからバスで行った。
バスを降りて長い坂道を上って、「こんな不便な田舎の村へ、わざわざ遠い日本からやって来るわ」と半ば自嘲気味に心でつぶやいて、村の小さな門を入った。そんな投げやりな気持ちになっていたのは、旅の終わりが近づき疲労が蓄積し、足の指が痛かったせいだ。だが、フランスの美しい村は決して期待を裏切ることはない。朝早く着いたため、人もまばらで静寂に包まれた村は一際美しく、疲れた旅人を優しく迎えてくれた。
細い路地を歩いてシャッターを切っていると、この村の名物であるガレットの職人たちが、工房から出てきて表情豊かに様々なポーズをとってくれた。それはまるで寸劇を見ているかのようであった。突然の出来事に、私はシャッターを切ることも忘れて見入ってしまった。フランスでは時々こんなお茶目な人々に出会う。とっさに反応できず、いつもシャッターを切り損ねてしまうのだ。見とれている私を残して、彼らは工房に戻り、また忙しく働き始めた。路地には何事も無かったかのように静けさだけがあった。
ペルージュ(
Perouges)の入口、小さな門を見上げる









村の教会にて
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カンヌ近郊に
ボルム・レ・ミモザ(Bormes Les Mimosas)という村がある。この一帯は野生のミモザが多く、2月にはミモザ祭りが行われるという。私が訪れたのは初秋だったが、花と緑が村には溢れていた。特別な観光名所があるわけではないが、よく手入れをされていて、非常に美しくフォトジェニックな村であった。緑のトンネルをくぐり抜けて、夢中になってシャッターを切っていると、一軒の家の前で、ワンちゃんがこちらをじっと見ていた。その姿もパチリ。
何故こんなにも、どこをどう切り取っても美しく感じるのだろうか。日本、いや、フランスでも、区画整理をされた国籍不明の新興住宅地に魅力を感じることは無い。曲がりくねった細い路地と、視界が切り替わるアップダウン、変化に富んではいるけれど統一された家並み。このあたりに、美しいと感じる秘密があるのではないか。
ミモザはその響きも含めて大好きな花だ。いつか、ミモザの季節に再訪したい。ミモザ街道と呼ばれる一帯を歩いてみたい。異国への憧れ、旅への想いは、果てしなく続いてゆく。



じっとこちらを見つめていたワンちゃん


村から溢れんばかりの緑



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フランスの美しい村ロカマドゥールは一幅の絵のような姿で、私を待っていた。
フィジャックから急行で30分の最寄り駅から、旧市街のロスピタレ村まで約6km、さらにそこから一本道をしばらく歩いて、ようやく辿り着くことができる。行きは最寄り駅からタクシーを呼んでロスピタレ村に向かった。
ここから遥か向こうに望む
ロカマドゥールは想像していた以上に美しかった。緑のうねりの向こうに断崖絶壁を背負うように小さな村が見える。絶壁に張り付くように建つ聖堂があり、その頂上に城がある。距離感を失わせる風景であった。それを楽しみながら、一本道を歩いて少しずつ
ロカマドゥールに近づいて行った。
村に着くと、サン・ソヴール・バジリカ聖堂まで216段の巡礼者の階段を上って行った。中世の巡礼者たちは罪を悔い改めるため、両膝だけで上ったと言う。私は普段、駅の階段さえ上がろうとしないのに、旅先では嬉々として上って行く。美しい聖堂を見た後、城の天辺までさらに上がり、そこから先程辿ってきた一本道を眺め満足した。
ロスピタレ村まで戻り、
ロカマドゥールの全景を眺めるテラスでゆっくりお茶を楽しんだ。その小さなホテル兼レストランのスタッフに、帰りのタクシーを呼んでもらった。が、村中のタクシーに問い合わせても、全て予約済みで1台もつかまらないと言う。小さな村に押し寄せる観光客の多さをすっかり忘れていた。帰りの電車の時刻が迫ってきて、どうしようかと思案していると、「5分待ってて。ドライバーを見つけてくるから。」とスタッフが言って外に出て行った。他のスタッフがこちらを見てウィンクをしている。
しばらくすると、「ドライバーを探してくる」と言っていた彼が、自ら運転して来て駅まで送ってあげると言う。粋な計らいに素直に甘えた。駅に着いてお金を渡そうとしても決して受け取ろうとせず、「またこの村に来てくれれば嬉しい。」と言い、爽やかに去って行った。
美しい
ロカマドゥールは、この想い出と共に、私の心のアルバムに今も刻まれている。

ロスピタレ村から望む
ロカマドゥールの全景


絶壁に張り付くように建つ聖堂

城からの眺め
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サン・シルク・ラポピーはフランスでコンクと並んで最も美しい村と言われる。
ずっと以前まだ日本のガイドブックに紹介されていなかった頃、建築の専門書である「ヨーロッパの集落デザイン」(井上裕・浩子著 グラフィック社)で初めてその存在を知った。
満を持して不便な
ケルシー地方の珠玉の村々を巡る旅をした時、ようやく訪れる事ができた。フィジャックからバスに乗って1時間で村の最寄駅に着き、そこから徒歩で30分程かかる。
想像していた通りとても美しい村だった。コンクの神秘的な美しさとは違って、とても可愛らしい佇まいであった。村の通りには花が飾られ、石造りの壁には蔦の緑が映える。その細い入り組んだ路地を彷徨うのはとても楽しい。村は迷子にならない大きさなので、安心して彷徨うことができる。
そうしながら、しっかりと美味しそうなレストランを見つけて、ランチをした。
確かグルメット・
ケルシーという名の店で、そこを選んだ理由は、近くの名産品のフォアグラを使ったオードブルに惹かれたためであった。料理の写真を少し撮るようになったのはつい最近で、今となっては、味も思い出せない。フォアグラのテリーヌとポワレを同時に味わえて満足したおぼろげな記憶がある。旅日記には「フォアグラ3種、カナルロティのフィグソース、ヤギのチーズ、ポワールのコンポート」と書いてある。やはり、写真に勝る旅の記録は無い。
個人的には、ラポピーよりコンクのほうが好みであった。が、ラポピーもまたいつか再訪したい美しい村の一つである。







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フランスには、美しいヨーロッパの中でも一際美しい村々が沢山ある。それぞれが変化に富んでいて良く手入れをされている。
特に美しい村々が集中しているのが、フランス中部の
ケルシー地方である。どの村もアクセスが非常に悪く、旅人を悩ませている。その中の一つである
コンクには、行きはロデス(Rodez)から一日に1本しかないスクールバスに乗って行った。
夕日に染められて薔薇色に輝く村が見えた時、一瞬にして幻想的な村の虜になった。この村が私を呼び寄せてくれたような気がした。
いつものごとくその全てを味わい尽くすように、道を歩き始めた。
村を様々な角度から眺めた。高台から望む村は、まるで眠り姫のように、遥か昔からそこだけ時が止まっているかのように見えた。
翌朝、また一歩一歩いとおしみながら歩き、一つ一つ美しさを愛でた。
帰りの時間が迫っていた。どれだけ目に、心にそれを焼き付けようとしても幻のように儚い。
私はいつかまた戻ってくることをそっと村に約束した。その美しさを確かめるために。







コンクでは村一番の4★ホテル、
グランドホテル・サント・フォア(Grand Hotel Ste-foy)に泊まった。鳥が囀る中庭を持つチャーミングなホテルであった。

鳥が囀る中庭
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フランスの美しい村イヴォワールまでは名水の地エヴィアンから遊覧船で1時間30分程の船旅である。途中、湖をすべる様に進む船からは、体に爽やかな風を受けながら名も知らぬ美しい村々が眺められ、見飽きることが無い。その日も快晴で嫌な湿気は全く無く、6月はヨーロッパのレイクリゾートを旅するには最高の季節であった。






船着場からすぐのホテル・デュ・ポールの外観

ホテル・デュ・ポールの部屋の様子


イヴォワールは想像していた通りとても可愛らしい村だった。花々が咲き誇り、毎年花の村コンテストに入賞すると言うのも納得である。船着場からすぐのホテル・デュ・ポール(Hotel Restaurant du Port)も大好きな
シャトー&ホテル・ド・フランス(CHATEAUX&HOTELS DE FRANCE)に加盟しているだけあり、この村にぴったりの可愛らしいホテルであった。
唯一の難点は、シャッターを切ることも難しい位の明らかにキャパオーバーの人・人・人の群れ。まるでディズニーランドの様で興ざめである。どうせ大半の人々は日帰りで立ち去ってしまうのだ。夕暮れ時から早朝にかけて、ようやく村は本来の静かな美しさを取り戻した。
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